Yifeitao | 次生進化

茅台、政務酒から商務酒、そして家庭酒へ

かつて茅台は国宴における「政治的正当性」そのものだった。いまでは静かに、千家万戸の家庭の食卓、婚礼、友人との小宴にまで入り込んでいる。一本の酒に三つの人生がある。政務酒から商務酒へ、そして家庭酒へ。茅台の30年にわたる転換は、単なる販路の付け替えではなく、マクロの周期に自ら適応する自己進化だ。「B端の希少資源」から「C端の真実の消費」へ、「酒を売る」ことから「ライフスタイルを売る」ことへ。

貴州茅台の公式な歴史資料と決算の振り返りによれば、初期には政務向けの調達が一時50%近くを占めた。2012年末の「八項規定」の後、会社は「三つの転換、五つの変化」を掲げ、商務の場面が急速に立ち上がった。2021年以降は不動産周期の底と消費の低迷が重なり、茅台はC端への突破を速めた。2022年にi茅台が稼働し、直販チャネルの比率は2018年の低い水準から急速に高まった。会社は「消費者を中心に据え、市場化への転換を進める」と明言し、客層・場面・サービスという三つの転換に焦点を絞り、「自社販売+代理店+代理販売+委託販売」の協働モデルを打ち出して、チャネルを家庭・個人の消費場面へさらに下ろしていった。

一、政務酒の時代——国酒の「政治的裏書き」(1950s–2012年)

1951年、地方政府は三つの私営酒廠を統合して茅台酒廠を設立し、周恩来がそれを国宴酒に定めた。1972年のニクソン訪中では茅台が外交の贈り物となり、国慶節や観兵式などの重大な催しでは空輸で専用供給された。初期の販売は主に国営の糖酒公司と団体購入のルートを通じ、政務および国有企業の調達が50%近くを占めた。卸価格は経済の高成長とともに一路高騰し、2012年以前には2000元を超えたこともある。

当時の茅台は、酒そのものよりも、身分の象徴を飲むものだった。ブランドのプレミアムは「政治的な後光」に由来する。希少性と裏書き、そして末端での品薄。会社の決算も当時の報道も、この段階の販売伸び率が44%に達し、B端の政務という場面に完全に依存していたことを示している。

二、反腐敗の危機と商務酒の不本意な台頭(2013–2021年)

2012年末の「八項規定」は嵐のようだった。公費による三公消費が急減し、茅台はまともに直撃を受ける。2013〜2014年、株価は高値から半減し(約50%の下落)、卸価格は1200元台から最安830元前後まで落ち、販売伸び率は44%から2%へ急落した。会社の決算は「前例のない圧力」を初めて認めた。

危機が転換を迫った。2013年から茅台は「三つの転換、五つの変化」を掲げ、政務から高級商務(企業の宴席、贈答)へと軸足を移す。代理店は急速に増え、飲食店の末端が主力となった。2015年以降は大規模な新規代理店の開拓を止め、ECとシリーズ酒の下沈へと向かう。政務に代わって商務の場面が主な増収源となった。

2018年以降、株価は「株王」の座に返り咲く。データが示すのは、商務酒によって茅台が市場のなかで生きる術を学んだということだ。「鉄の茶碗」から「市場の飯」へ。チャネルの利潤は圧縮されたが、より広いB端の空間が開けた。

三、家庭酒への蝶変——不動産低谷下のC端突破(2022年〜現在)

2021年以降、中国の不動産は下落周期に入り、高級消費は低迷し、茅台の卸価格は圧力にさらされた。2025年の前三半期の売上伸び率はわずか6.32%、通期目標は初めて一桁台に引き下げられた。2026年3月には飛天の卸価格が一時1600元を割り込み、近年の安値を更新した。

会社は果断に「一足飛びでC端へ」を加速した。2022年3月にi茅台が稼働し、その年の直販収入は105.4%急増。2024年の直販チャネル収入は748.43億元、構成比43.87%、売上総利益率95.33%(卸売代理の89.42%を大きく上回る)。i茅台の通年収入は200.24億元。2025年上半期には、直販比率はさらに44.8%前後で安定した。

茅台は戦略を全面的に格上げし、市場化運営案を発表した。個性化商品(陳年茅台、精品茅台、干支酒、鼓楽飛天、小容量飛天など)に「代理販売」モデルを適用し、「自社販売+代理店+代理販売+委託販売」の協働という新たな枠組みを正式に形づくる。代理販売モデルでは物権は移転せず、代理店は代金の全額を前払いする必要がなく、保証金を納めるだけでよい。オンライン小売、実店舗、飲食、私域などの資源を通じて消費者に届き、約5%のサービス料(手数料)を得る。たとえば53度500mlの精品茅台は小売価格2299元で、代理店の取り分は約115元。代理販売の商品はすべてi茅台の平台を通じて販売を完結させねばならず、従来の団体購入客は専門店専用のQRコードを読み取って調達できる。「オンラインで注文し、店舗で受け取る」を実現し、主に個人客に応える。

茅台の責任者は明確にこう述べる。「自ら変わろうとし、チャネル事業者に奉仕し、役割の転換を推し進めねばならない。伝統的な『売り手』の役割から、茅台のオフラインでの展示とサービスを担う機能へと移り、メーカーと代理店が協働して消費者に応える合力を形づくる」。この措置は価格決定権を直接取り戻し、非標準品の価格盤を安定させ、チャネルでの投機を減らす。同時に代理店を「坐商」から「行商」へと変え、軽資産でサービスを厚くし、真に末端を耕させる。

場面の移行が最もはっきりと表れる。商務の宴席から、家庭の食卓、婚礼、長寿の祝い、友人との小宴といった私的な祝いの場へ。店舗には「家宴専区」が設けられ、i茅台の利用者の比率は上がり続け、消費者からは「家庭の集まりで茅台を使う割合が増えた」という声が届く。90后(1990年代生まれ)、85后が主力となり、買ってすぐ飲む、小容量を自分用に買う、という流れが趨勢になった。茅台は「政務酒の栄光、商務酒の生存」から「家庭酒の帰着点」へと向かう。一杯の酒が、ありのままの生活に寄り添う。

四、背後の論理と未来への示唆

茅台の「三変」の本質は、マクロの周期がミクロの転換を迫ったことにある。反腐が政務への依存を「断乳」させ、不動産の低迷がC端の目覚めを促した。会社は政策の追い風から消費者の主権へと軸を移し、商業の論理を取り戻した。代理販売モデルは、まさにこの転換の最新の注釈だ。チャネルの利潤を「投機的」なものから「安定的」なものへ変え、代理店に在庫の抱え込みや値上がり狙いではなく、C端サービスの深耕を迫る。アナリストは、C端の運営力と人脈・圈層の資源を持つ代理店がより多くの割当を得て、ただ「転売」するだけの旧来型は自然に淘汰されると指摘する。

業界にとって、これは一つの見本である。白酒企業は先んじてデジタル化と場面化を受け入れ、若い客層と個人消費を奪い合わねばならない。茅台の「家庭酒」戦略の成否は、開栓率と若年層への浸透にかかっている。現時点では、会社の実行は揺るぎない。i茅台はC端の中核の手がかりとなり、卸価格と株価は転換のなかで次第に落ち着きを取り戻しつつある。

五、結び

政務酒は栄光、商務酒は生存、そして家庭酒こそが帰着点である。茅台の転換は企業の物語であるだけでなく、時代を映す鏡でもある。権力の象徴から生活への寄り添いへ。そこには中国の消費がB端からC端へとミクロに格上げされていく姿が映っている。今後は、国酒の香りが本当に普通の家庭まで届くような、さらなる革新を期待したい。

あなたの食卓で、茅台はどの酒だろうか。コメントでの議論を歓迎する。